2009年8月8日に発生した台風8号(モーラコット台風)による豪雨は、台湾南部に深刻な被害を残しました。茂林国家風景区内も多数の箇所で土砂崩れが発生し、その中の一つが当管理処の事務所があった場所でした。大水が引いた後、敷地内はどこもかしこも台風の爪痕だらけで、事務所そばの三本の旗ポールだけが元の場所に立っていました。
もともと事務所があった場所に「茂林入口意象公園」が再建されました。ここには簡易休憩施設があり、行楽客たちが旅の途中で立ち寄ることができるスポットとなっています。休憩以外に、台湾で三番目に高い得楽日嘎橋が遠くに望めるほか、、現代建築の工芸美を目にすることもできます。さらに、夜にはライトアップされた装置芸術がほの暗い山谷の中できらきらと輝き、昼間とは異なる雰囲気を作りだしています。
園内には台風でも押し流されなかった三本の旗ポールが逆境の中でも忍耐強く、揺らぐことのない精神の象徴として現在も記念に残されています。これはさらに、地元の「烏巴克工作室」に依頼し製作してもらったシンボル的な装置芸術もあり、これには「蛻変(変化)」と「希望」と名付けられています。材質には石と鉄鋼を使用。「人々に希望を与えるため」という創作理念に基づき、タフな生命力を表現しています。下部は石彫刻となっており、これは母体文化を意味し、当地の原住民族の失われた歴史を刻んでいます。また、花が蝶を育む姿は大地や山林の意味が込められており、原住民族の母親であることを意味しています。三匹のルリマダラは茂林区の三つの村を象徴し、新しく生まれ変わり、新たな未来へ向かっていく希望を表現しています。夜になると、ライトアップによりきらきらと輝き、ひと味異なる風情を醸し出します。